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ドームテント導入で失敗しないためのチェックリスト10選【前編】

  • 草太 八木
  • 8月18日
  • 読了時間: 6分

更新日:8月26日


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 グランピング施設へのドームテント導入は、そのユニークな外観と快適性から、多くの宿泊者にとって大きな魅力となります。  しかし、見た目のインパクトや話題性だけに注目して導入を進めてしまうと、「思っていたよりコストがかかった」「メンテナンスが手間」「お客様の反応がいまいち」といった“失敗”を招く恐れもあります。  

 これからドームテント導入を検討する施設様に向けて、失敗を未然に防ぐための10のチェック項目を、前編・後編に分けてご紹介します。


チェック①:導入目的は明確か?

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「ドームテントを導入する理由」が曖昧なままだと、すべてがズレていく…。


 ドームテントの導入は、施設全体の方向性に直結する重要な投資です。  しかし、「流行っているから」「なんとなくインパクトがありそうだから」といった曖昧な動機でスタートしてしまうと、導入後の運営やPR、ターゲット設定にまでズレが生じてしまう可能性があります。


 以下の観点から、「なぜ導入するのか?」を明確にしておくことが重要です。


どのような“効果”を期待しているか?


たとえば…


・宿泊単価の引き上げを狙っているのか

・新たなターゲット層(若年層、富裕層、海外旅行者など)の獲得か

・閑散期の稼働率改善か

・既存客のリピーター化か

・話題性によるメディア露出か


→目的によって「選ぶべきテントのスペック」「設計デザイン」「導線設計」はまったく変わってきます。

施設全体のブランド戦略にどうつながるか?


 ドームテントは単なる“宿泊棟”ではなく、施設の顔やアイコン的存在になる可能性があります。したがって、「ブランドの世界観にどう貢献するのか?」を導入前に整理することが欠かせません。

・ナチュラル志向の施設か

・ラグジュアリー路線か

・ファミリー重視か

・エンタメ性重視か

→デザイン・色味・立地・内装の方向性も、施設コンセプトとの整合性を確認する必要があります。


導入前ワーク:目的を“1行で言語化”してみよう


 導入前に、以下のようなテンプレートに沿って1文で言語化してみてください。


 例:「SNSで話題性のあるドームテントを導入し、20〜30代の新規女性客を集客する」


 この一文が曖昧だったり、複数の方向にブレているようであれば、もう一度検討が必要です。



チェック②:ターゲット顧客は誰か?

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「誰のためのドームテントなのか?」が明確になると、設計・演出・導線まですべてが一貫する。


 グランピング施設にドームテントを導入する際、“誰に泊まってもらいたいのか”を明確にすることが成功の鍵です。

この視点が曖昧なままでは、せっかく設置したテントも“誰にも刺さらない空間”になってしまう恐れがあります。


顧客の「感性」に合わせた空間演出


たとえば、以下のように顧客層によって求められる体験・雰囲気はまったく異なります。


20〜30代女性向け(SNS世代)

→ 撮影映えを意識した内装・カラーリング、天蓋やライティング、ミラーやドライフラワーなどの装飾

→ アメニティの充実、ブランドコスメの導入も効果的


ファミリー層

→ 子どもが喜ぶ仕掛けやアクティビティ導線、安全性、動線のシンプルさ

→ 子ども用寝具やおむつ用ゴミ箱の設置なども支持されやすい


ペット連れ層

→ ペットと泊まれる専用ドームテントの設置、ドッグラン併設、足洗い場の設置など

→ 床材や家具選びにも配慮が必要


カップル・夫婦向け(特別な日利用)

→ 夜景やプライベート感、ラグジュアリー感の演出、特別な夕食コースや記念日プランとの連動


→ ターゲットによって「選ぶべき仕様」「設置場所」「装飾の方向性」「サービス内容」すべてが変わってきます。


「動機」を想定すると訴求が鋭くなる


ターゲットを年齢・性別だけでなく、「なぜ来るのか(動機)」まで掘り下げると、マーケティングや演出の設計がさらに精密になります。


例:


・子どもとの思い出作り

・インスタ映えのための非日常体験

・記念日や誕生日祝い

・忙しい日常からのリセット

・ワーケーション


→ 目的が「癒し」か「アクティブ」かで、照明・音楽・家具の設計すら変わります。


顧客の「滞在の流れ」まで想像する


 ターゲットが決まったら、その人がどうやって施設に来て、何をして、何を思い出として持ち帰るのか?までシミュレーションしておくと、デザインやオプションサービスがぶれにくくなります。


 たとえば…


・車で来るのか?→ 駐車場の位置と導線

・昼過ぎに着くのか?→ チェックイン前後の楽しみの提案

・夜をどんなふうに過ごすのか?→ライティング・焚き火・音楽の演出

・翌朝の動きは?→朝食スタイル、チェックアウト動線


 → 顧客視点の滞在体験を言語化することで、「いい感じにおしゃれ」ではなく「狙って刺さる」演出ができるようになります。



チェック③:設置場所や周囲環境との相性は?

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「どこに置くか」でドームテントの魅力は大きく変わる。


 ドームテントは見た目のインパクトが強く、平地にポンと置くだけでもある程度の存在感を発揮します。  しかし、「どのような場所に、どう配置するか」まで設計されてこそ、その魅力は何倍にも引き出されます。


ロケーション選びが「非日常体験」の質を左右する


グランピングにおける最大の価値は“非日常感”です。その体験価値を大きく左右するのが、テントの立地です。


海沿い・湖畔

 → テントの窓から水辺が見える設計なら、朝・夕の景色が特別な体験になる

 → 塩害対策としてファブリックや鉄骨素材の選定が必要


森の中・高原

 → 鳥のさえずり、木漏れ日、静寂などが贅沢な演出になる

 → 自然と共存するための防虫・防湿の工夫も不可欠


山間部・段差地形

 → 高低差を活かすと、各テントのプライベート感が増し、景色も映える

 → 地盤対策・造成工事のコストとリスクは事前に検討が必要


 ただ「ドームが置ける広さがある」というだけでは、意味がありません。

 「その景観をどの方向から切り取るか」「どう見せるか」まで逆算した場所選びが必要です。


設置後の「導線」まで想定する


 ドームテントは、形状の特性上、入り口の位置や方向が固定されがちです。

 そのため、設置後に「入り口が斜面側で足場が悪い」「景色に背を向ける形になった」など、導線上のミスマッチが起こることも。


導線設計で検討すべき要素:


・チェックイン場所からの距離と道のり(照明、段差、安全性)

・ドーム同士の間隔と視線の抜け方

・プライベートBBQスペースやトイレまでの導線

・雨天時でも歩きやすい設計か(ぬかるみ・滑り止め)


→ 「ドームありき」ではなく「導線ありき」で設計すべきなのです。


夜間の見え方・演出も要検討


 昼の景観だけで設置場所を決めてしまうと、夜間に“ただの暗い空間”になるリスクがあります。


夜の魅力を高めるために検討したい要素:


・窓から夜景や星空が見えるか(遮光・照明とのバランスも重要)

・アプローチ照明の設計(足元灯・間接光)

・ドーム外観をライトアップする仕掛け(RGBライティングなど)


→ 「夜も絵になるロケーション」かどうかが、リピーターや口コミにもつながります。


 

まとめ ―ドームテントを有効活用するための第一歩

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 ドームテントの導入にあたっては、


「どんなターゲット層を想定しているのか」

「どのモデルが施設の運営スタイルに適しているのか」

「その場所に設置する意味があるのか」


といった“設計前の目利き”がとても重要です。


 この土台がしっかりしていれば、その後の演出や運営も「狙い通り」に進み、施設全体のクオリティが一段と高まります。


 後編では、実際にドームテントを活かした空間づくり・演出のコツについて、さらに掘り下げていきます。


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