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グランピング~非日常を楽しむ、新しい宿泊体験

  • 草太 八木
  • 8月4日
  • 読了時間: 5分

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 ここ数年、日本全国で注目を集めているレジャー体験の一つが「グランピング」です。  従来のキャンプとは異なり、道具を持参せず、快適な空間で贅沢な時間を過ごせるこの新しいアウトドアスタイルは、アウトドア初心者からファミリー層、カップル、シニア世代まで、幅広い世代の支持を得ています。


 一体なぜ、ここまでグランピングは多くの人々に受け入れられ、今も拡大を続けているのでしょうか。  数年前にも同じような題目で記事にしましたが、グランピングという概念の魅力や社会背景、人気の理由、施設の進化、そして今後の展望までを改めて掘り下げたいと思います。


 グランピングとは?

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 「グランピング(Glamping)」とは、「Glamorous(魅力的な、華やかな)」と「Camping(キャンプ)」を組み合わせた造語です。  言葉の通り、自然の中でキャンプをしながら、ホテルのような快適さを享受できることが最大の特徴です。


 従来のキャンプには、テント設営や寝具の準備など、ある程度の経験と手間が必要でした。  一方、グランピングではすでに設置された設備(ベッド・空調・照明・トイレ・食事など)を利用でき、自然の中でもストレスフリーに過ごせることから、「キャンプは苦手だけど自然は好き」という人々のニーズを完璧に満たしています。


 特に都市部に住む人々にとって、非日常を気軽に体験できる手段としても注目されており、近年では観光業界の新たな収益源としても成長しています。



なぜ今、グランピングなのか?

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 グランピング人気の背景には、いくつかの社会的・文化的な潮流があります。


 まず一つは、「モノよりコト」への価値観のシフトです。  物質的な所有ではなく、体験や思い出にお金と時間をかけたいというライフスタイルが、若い世代を中心に強くなってきました。  グランピングはその価値観にぴったり合致します。


 また、近年は働き方の多様化によって、平日に休暇を取りやすくなったことも後押ししています。  特にコロナ禍以降、人混みを避けた「自然との距離感」が求められるようになり、「密を避けつつ贅沢な空間で過ごせる」グランピングは、安全性と楽しさを両立する選択肢として多くの注目を浴びました。


 加えて、SNS映えするビジュアル性も無視できません。  フォトジェニックなドームテントやラグジュアリーな内装、星空を望む露天風呂など、インスタグラムをはじめとするSNSに投稿したくなるシチュエーションが満載です。



グランピング施設の多様化

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 一口にグランピングといっても、そのスタイルは実に多彩です。  初期のグランピングでは大型のテントやロッジが主流でしたが、現在では以下のように施設の選択肢が大幅に広がっています。


ドームテント:球体型のユニークなフォルムで、視覚的なインパクトもあり。内装も広く、冷暖房完備の高機能なものが多い。

トレーラーハウス:アウトドア気分を保ちつつ、ホテルのような快適性がある。

キャビン・コテージ:木造建築で、自然素材を活かした癒しの空間が魅力。

コンテナハウス・モバイルハウス:移動可能な構造で、利便性と柔軟性が高い。

ヴィラ型グランピング:一棟貸しでプライバシーが確保された高級仕様。


 このように、利用者のニーズに合わせた多様なタイプが登場しており、グランピングはもはや単なる「豪華なキャンプ」ではなく、ひとつの宿泊カテゴリとして確立されています。

 

グランピングの今と課題

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 グランピング市場は今後もさらなる成長が見込まれています。  観光業界では、インバウンド需要の回復とともに、国内外の旅行者に「手軽に自然体験」ができる施設として、グランピングが再注目されつつあります。


 また、地方創生の文脈でもグランピングは有効です。  使われなくなったキャンプ場や農地、森林エリアなどを活用して、地域の魅力を新しいかたちで提供することが可能になります。  実際に、多くの地方自治体や民間事業者が、グランピング施設を核とした観光開発を進めています。


 しかしながら、グランピング市場の拡大とともに、競争も激化しています。  特にここ数年で全国に多くのグランピング施設が誕生し、まさに“グランピング戦国時代”とも言える状況です。  かつては「グランピング」というネーミングだけで十分な集客が見込めた時代もありましたが、その時代はすでに終焉を迎えつつあります。


 これからは、単なる豪華なテントや洒落たインテリアだけではなく、その施設ならではの強みや、他にはない価値をどう打ち出すかが問われる時代です。  たとえば、地元食材を活かした料理体験、地域の文化や自然を感じられるアクティビティ、子どもやペット向けの専用設備、さらにはサウナや天然温泉といった付加価値の提供など、明確な差別化とブランディングが必要不可欠です。


 また、豪雪地帯や強風地域では、施設の耐久性や建築許可の問題が生じることがあります。過度な開発による自然環境への影響も慎重に考慮すべき課題です。


このような背景から、グランピング施設の運営には、「地域との共生」と「選ばれるための独自性」が求められています。  長期的に支持される施設にするためには、持続可能で戦略的な運営体制の構築が欠かせません。

まとめ

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 グランピングは、自然と快適さを両立させた次世代の宿泊体験です。  その魅力は、ラグジュアリーな空間で非日常を味わえることにとどまらず、地域資源の再活用や観光産業の革新といった、社会的にも意義のあるムーブメントへと発展しています。


 グランピングはただのレジャー体験ではなく、「自然との共生を前提とした新しいライフスタイル」としても注目されていくでしょう。  アウトドア初心者でも安心して参加できるこの体験は、日本における観光と地域活性の未来を明るく照らす存在となるはずです。


 理想のグランピング空間を形にするためには、快適性、耐久性、デザイン性を備えた設備選びが鍵を握ります。


 ラグジュアリーと自然が出会う場所――それが、グランピングの本質です。

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