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  • YASU1223

グランピング施設開業時の場所選定

更新日:2022年6月15日


 グランピング事業は、開業前に行った事業者の選択次第で、その施設の行く末が大きく左右されることになります。


 もちろん、集客方法や運営方法などの開業後の施策でも施設の成否は変化します。
 しかしながら、開業前の決定事項は、後から変更がきかないことがらが多く、せっかく開業後に行った施策も、開業前の行い次第で正しく効力を発揮しないことがあります。

 中でも開業前に決定する大きな選択の一つが『場所の選定』でしょう
 グランピング施設の利益に最も影響する要素だからです。

 後ほど詳しく記載しますが、アクセスの良し悪しや有しているロケーションのポテンシャル、そして商圏範囲にどんな競合施設があるか、施設の利益に直結するポイントがいくつもあります。


 今回は、開業前の最重要事項である場所の選定のみに焦点を当てていきたいと思います。


 

法律との兼ね合いと行政判断

 

 

 冒頭の通り、開業前の場所選定が良くも悪くも開業後の施設の動きに大きな影響を及ぼします。

 しかし、それ以前の問題として、そもそも開業できる場所を見つけなければ話になりません。


 「都市計画法」「建築基準法」の他に、「旅館業法」「消防法」「水質汚濁防止法」「自然公園法」などが関わってきます。

 これらの法律を遵守していなければ施設を開業することはできません。

 

 また、日本には、都市計画法により定められた用途地域というものが存在します。

 用途地域に指定されている場合、その地域に建設することができる建物とできない建物が決められています。

 用途地域にはいくつかの種類があり、例えば、第一種低層住居専用地域の場合、一戸建て、賃貸住宅、マンション、小中学校などの低層住宅しか建てられません。

 

 グランピング施設を運営するには、第一種住居地域のようなホテル等の宿泊施設を建てることができる用途地域でなくてはいけません。


 上記に関して行政の都市計画課など(※地域によって担当される部署が違います)に許可をもらう必要があります。
 
 これらの許可を取らず、強行して開業に踏み出す方もいらっしゃいますが、言うまでもなく、それはとてつもないリスクをはらんだ行為です。
 後々無許可であることが判明すれば、営業停止を言い渡されることも十分あり得ます。
 
 詳しくは、以前アップしております建築確認(確認申請)を取らずグランピング テントを設置するリスクとはをご覧ください。
 




 

施設に必要な土地の広さ

 


 『グランピングを開業するのに、最低でも約5,000~7,000㎡の土地が必要』といった話をよく耳にします。

 

 これに対し、筆者の見解は、『どんなコンセプトの施設にするかで必要な土地の大きさは変わる』です。


 極端なことを言えば、グランピングテント一棟だけでも施設の運営はできますし、グランピングという要素を満たした施設を作ること自体は可能です。

 もちろん、商売なわけですから、1棟でも100棟でも黒字にできなければ、施設として成立しません。

 逆に、グランピングの要素を満たし、収益を見込める施設なら、土地の広さもテントの棟数も問題ではないということです。


 『グランピング施設を運営するには、○○〇くらいの広さを持つ土地が必要』という考え方ではなく、『こんなグランピング施設にしたいから○○〇くらいの広さを持つ土地が要』という考え方をお勧めします。


 大切なのは、土地の大小ではなく、その土地で何をしたいか、どんな方法で利益を見込むかです。


施設のコンセプト設計に関しては、以前アップしております『グランピングにおける最重要項目は、『コンセプト設計』です。』という記事をご覧ください。



 

アクセスとロケーション

 


 自然に溢れた秘境故にアクセスが悪く、だからこそ特別な体験ができる、特に、グランピングは、キャンプの要素も含んでいるので、多少アクセスが悪い場所でも仕方がない…という考え方もあるかもしれません。


 ただし、これは当然アクセスの悪さをロケーションの良さが上回っている場合に限ります。

 

 車でしか行けない山奥を長時間かけてやって来たのに、手入れの行き届いていない山があるだけではがっかりですよね?


 そういった場所にある施設は、最初こそグランピングというネームバリューで顧客を見込めるかもしれません。しかし、悪い口コミを書かれてしまうと、リピーターはもちろん、次の新規顧客の獲得もすぐに難しくなります。


 アクセスとロケーション、両方のバランスが重要になるということです。


 グランピングというコンテンツは、豪華で不自由がないアウトドア体験というユニークなコンテンツです。

 豪華なものであると同時に、キャンプの延長線上というイメージも強いため飛行機や新幹線を使っていくような認識はされていません。


 よほど良いロケーションを有していない限り、都市部から車で2時間を超過する候補地は厳しいというのが筆者の感覚です。





 

商圏範囲にいる競合施設の存在

 


 候補地の付近にどんな競合施設があるかというのも大事な要素です。

 前述したロケーションやアクセスが良かったとしても、近くに強力な競合施設があったら話は変わってきます。


 ただし、強力な競合施設があるからといって、その場所が必ず候補から外れるというわけではありません。

 重要なのは、その競合施設がどんな内容の施設なのかと、開業する自分の施設をどんなコンセプトで開業するかが重要になってきます。


 強力な競合施設があったとしても、自分の開業する施設と全くターゲットが異なる施設であれば、ロケーションとアクセスの良さを優先した方が良い場合も十分あり得ます。

 逆もしかりで、小さな規模の施設でも、自分の施設と全く同じコンセプトで営業している場合は、脅威となり得るかもしれません。

 




 

まとめ

 

 候補地は、その場所の元々のポテンシャルだけでなく、周囲の環境や事業者がどんなコンセプトの施設を構想しているかによっても大きくその価値が変わります。

 この地域だから良い悪いといった容易な判断はできません。


 開業後に変更できない要素だけに、アクセス、ロケーション、競合施設の存在、これらをよく考慮した上で選定していきましょう。




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